イインジャー      By  Blue - μ
  第6回

『男』3人は、『特訓』までは、声も出すし、
元気もいいのだが、
『特訓』が終わると、
無言で、夢遊病者のように、
部屋に帰っていった。
洗脳が完全に効いているからだろうか。
戦い以外のことには、まったく何の関心もないという、
そんな感じである。
無言で、部屋にぞろぞろ帰っていく…、
そのうしろ姿は、とても不気味だった。

一方、『女』2人は…、
『男』3人と、あまりにも対照的であった。

「さーーて、お風呂に入りましょうね。」
モモがキーちゃんを誘った。
キーちゃんは、照れてうつむいていたが、
「もーーう。女の子同士なんだから、
照れなくていいわよー。」
と、つぎつぎ脱がされた。
「あーれーー…、おねーーさまーーー。」
それなりに日数はたったものの、
未だ見慣れない自分の裸と、
モモの裸にまだドキドキしている。

女の子になりたくて、
なったわけでは、ないからだろうが、
男の心が、とても消えるものではなかった。
しかし、心と体のギャップに悩み、
おとおどしている様子は、
ものすごくかわいい、
女の子でしかなかったのだ。

「キーちゃんは、ほっんとに…もーーーう。
かっわいいいいいいんだから。」
思わず、いや、いつものようにモモが抱きつく。

裸同士、抱き合っている…のだ…。

モモの、ふくよかな胸と、自分のかわいい胸が、
スパーーークしているようだった。

「あっ…あの…ボク…男の子…、
だった…ん…ですけど、
まだ…まだ…、心は…、男の子…、
なん…ですけど…。
おねー…さま…。
…その…、恥ずかしく…ない…ん…で…す…か。」

キーちゃんが、恥ずかしいような、
もどかしいような??
なんとも、かわいくも悩ましげな声で、
絞りだすような声で…、言った。
「なーーにいってんの。この体の、
どこが男の子なのよーー。
このこったら…かわいいいいいいい…。んだから…。」

モモは、キーちゃんのバストをぎゅっと…、
そのあと、包み込むように…、やさしく…、
…もんだ。

「あっあーーーーーーーーーー…ん…。」
さらに、おねーさまの…、
いや、モモの手が…下に…。

だーーーーーっ。これ以上、
言葉に出して、話せるかってんだ…。
はぁはぁ。
(すっすんまそん…)
すーーはーーーーー。
(ナレーター息整えている)

あとは…勝手に想像しといてほしい。(ぉぃっ)

まだまだ、男の心のキーちゃんこと、『菊太郎』。
体とのギャップに悩むキーちゃんに対して、
モモが適度に、いや…過度に遊んでいる。

お風呂から、あがると、
今度は着せ替え人形であった。

「さーーて、今日はこのお洋服にしましょうねーー。」
服はふんだんに用意されてある。
モモは、院長に対して、
怒りは怒りとして、持っているものの、
この生活を十分に??
楽しんでいるようであった。

純なキーちゃんを、ほんとうに、
うまく…、うまく…、
それは、うまく…、(しつこい…)
もてあそんでいるのだ。
キーちゃんは、こうして女性として、
侵蝕されていっているのかも、しれない。

キーちゃんは、次々と服を着せられた。
かわいらしい真っ白なブラウスに、
タータンチェックのベストに、
おそろいのプリーツスカート。
モモのコーディネートにより、
清楚な女学生風にいう感じにされていた。
ショートカットのままではあるが、
それでも十分にかわいかった。
『菊太郎』は、女としても、
とてもいい資質を持っていたのだった。

自分の姿を、鏡に見て、
「これがボク??
かっわいいいいいいい…。
すっかり満足しているキーちゃんである。

心は、まだまだ男であろうが…。
しかし今はかわいい女の子。
だんだんとナルシズムに沈んでいった。
そして、モモとの『妖しい』世界。
(怪しいではない。妖しいのである。)

2人にとって、実に楽しい監禁??軟禁??
…いや…自主残留生活であった。

一方男3人は、無言の生活である。
女性の部屋ほど、豪華じゃないにせよ、
ちょっとしたマンション並の施設は、
整っているのに、
ちっとも快適そうな様子はなかったのである。
形式的にお風呂に入って、食事したあとは、
互いに話すこともなく、寝るだけ。
テレビはあっても、
誰一人スイッチも入れようとしない。
洗脳されると、レジャーとかに対して、
無気力というか。無関心になるのだろうか??
それとも、3人とも、
テレビをみる習慣がなかったのか??
まさに、天と地の生活である。

菊太郎君。いや、キーちゃん。
女になってよかったね?????
(いや…どうなんだか。)

しかし、朝が来れば、また『特訓』生活である。
「5人そろってぇぇぇぇぇーーーーーーー。」
あ…また、固まってしまった…。
とっ…とにかく…、
『レッド』の雄たけびが響いていった。

一方、第794代ショッカーも、
怪しい活動を始めようと?していた。
3人の怪人は醜く、いかにも悪役であった。

「俺たちをこんな醜く改造しやがって。
ちくしょう…!!!このやろう!!!
どこのどいつだよ。」
もうすっかり荒れていた。
「やけくそだなあー。ええい、こうなったら、
好き勝手、暴れまわってやるーー−。」

大河原院長は、
形だけの敵だと言っていた第794代ショッカー。
しかし、ぷーたろー3人は、やけくそになって、
暴れる気十分である。
やる気のない若者と言われているが、
思ったより、根性があったのだろうか。
「まずは、○ブ○イレ○ンで暴れて、
店のものすべて食べてやる。ちくしょう。」

って、そのていどなんかい!!

…しかし、このままではコンビニがあぶない。
いよいよ市民に危害が加えられようとしている。
いったいどうなるのだろうか。

いよいよ対決である????(本当に??)

いっぽう、こちら名無しの『5人組』である。
「おれたちがヒーローだ。おれたちがヒーローだ…。」
ぐるぐる回っている5人のもとに、
大河原院長がやってきた。

「うーーん。困ったのぅ。…実は、
いい名前がさっぱり、浮かばんかったんじゃー。」
いささか、困った顔である。
チームの名前を決めることは、
ヒーローとして当然のことである。
もちろん、チーム名がなかったら、
査定にも響くことだろう。

「どうすれば…。どうすれば…。

いいんじゃーーーーーーー。」

そのとき、『レッド』が立ち上がった。
「総統閣下。いいお名前ありがとうございます。」
え??
モモとキーちゃん、当の大河原院長も、
びっくりした。

『レッド』が、いきなり叫びだした。
「5人そろってぇぇぇぇぇぇぇ…
イインジャーーーーー。

がくっ。
モモとキーちゃんは、ずっこけそうになった。

「おお…それじゃそれじゃ。確かにここは、
大河原医院じゃー。さすがリーダーじゃ。」

そっちの意味かい!!!

こうして、『レッド』の、超勘違いから
、 イインジャーとなった、5人であった。

モモと、キーちゃんは、あきれてしまった。
しかし、ばれないようにしなくてはいけない…。

「どうでも、いいんじゃーーー。」
なかば、やけくそであった…。

こうして、名前も決まり、
モチベーションもあがってきた??
ぐるぐると高速で回りだすと、
光の竜巻となり、変身していくのである。
「5人そろってぇぇぇぇぇぇぇ…イインジャーーーー。」
ぐるっとまわって、たちポーズ。
ださい??ながら、ぴたっときまるようになってきた。

「うんうん。これで、どうやら、いけるようじゃな。」

イインジャーと、第794代ショッカー。
対決のときが迫ってきた。
いったい、どこで!!!!

ある日、ルンルンして、院長が帰ってきた。
「いよいよ、第794代ショッカーと対決じゃ。
といっても、適当に戦ってもらえればいいんじゃ。」
「はい。総統閣下。私たちは、総統閣下の、
思うまま、全力で戦います。」
『レッド』がもえていた。しかし、適当に戦うの意味は、
わかっていないようだった。

「土曜日の午後1時、モンローデパートの屋上で、
『対決』するのじゃ。ええか。ショーだからな。
適当に、戦ってくれたら、
いいお金に…、いや、ウォーミングアップとおもって、
やってくれたらイインジャー。」(←しゃれです。)

モモとキーちゃんは、思わず顔を見合わせてしまった。
これだけ、改造しておいて、
やることといったら、デパ屋(おく)で、ショーなのかと。

しかし、改造してあるおかげで、
ダサいながらも、変身シーンといい、
戦うシーンといい、
迫力ある、ショーになることは間違いないだろう。
このショーは、いつしか、話題を呼ぶだろうから??
これで、お金儲けをするつもりなのでは??

真の狙いはこういうことなのか????
単純に、人前でショーをやるための、
改造だったのか…。
二人は、頭を抱えずにはいられなかった。

「俺たちの力を示すのだ。」
「オーー。」「オーー。」
『レッド』『ブラック』『ブルー』の、
3人は単純に、盛り上がっていた。
あまりにも、テンションに差があった。

「ん??女の子二人は、盛り上がらないのかのぅ??」
の声に、あわてて、
「オーー。」「オーー。」と『ピンク』と『イエロー』が、
加わった。
あぶない。あぶない。
今、ばれては何にもならないのである。



…つづく…